国家政府は、自国の景気をコントロールすることを命題にしています。歴史的に見ても、古今東西、景気というのは必ず好況と不況が波打ってきました。特に好景気なことを放置していれば、過剰な投資を呼び込み、バブルを引き起こします。そしてバブルが弾ければ、経済に長期的に大きなマイナスを与え続けるので(世界大恐慌後のアメリカや、90年代の日本が典型例)、政府が中央銀行を通じた金融政策で、景気の過熱しすぎることを防ぎ、バブルを抑制するのです。
その代表的な方法が、政策金利の調整です。政策金利は各国で呼び名が異なり、日本の無担保コール翌日物金利、アメリカのFFレートと呼ばれます。そして中国では、政策金利に相当するものを「1年物貸出基準金利」と呼びます。中央銀行である中国人民銀行が、毎月この金利を決定しています。
以下、2000年以降の中国の政策金利の推移です。単位はパーセント。政策金利が利上げされた際は赤色、逆に利下げされた場合は青色で示しています。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | |
2014年 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 5.6 | 5.6 |
2013年 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
2012年 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.31 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 | 6 |
2011年 | 5.81 | 6.06 | 6.06 | 6.31 | 6.31 | 6.31 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.56 | 6.56 |
2010年 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.56 | 5.56 | 5.81 |
2009年 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 |
2008年 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.47 | 7.2 | 6.66 | 5.58 | 5.31 |
2007年 | 6.12 | 6.12 | 6.39 | 6.39 | 6.57 | 6.57 | 6.84 | 7.02 | 7.29 | 7.29 | 7.29 | 7.47 |
2006年 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 6.12 | 6.12 | 6.12 | 6.12 | 6.12 |
2005年 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 | 5.58 |
2004年 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.58 | 5.58 | 5.58 |
2003年 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 |
2002年 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 | 5.31 |
2001年 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 |
2000年 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 | 5.85 |
中国では、GDP成長率が2桁を維持しなければ、13億人の国民が喰っていけないと言われています。そのため、日本やアメリカなどの先進国と比べて、利上げが行われるタイミングが遅めであることが特徴です。2000年代中頃、インフレや不動産バブルが進行しているにも関わらず、中国の政策金利の推移、利上げのピッチは緩やかでした。また、リーマンショックが起きた2008年9月以降も、7.2%から5.31%へと、合計で2%足らずの利下げと、アメリカやユーロ圏に比べれば緩やかでした。
もう一つ抑えておきたいことは、中国では景気のコントロールを政策金利だけでなく、預金準備率でも行っているという点です。日本では預金準備率の変更はもう長年行われていませんし、先進国も大抵がそうなのですが、中国では頻繁に預金準備率が引き上げられています。不動産バブルの抑制には、預金準備率を引き上げた方が有効だからでしょう。預金準備率も、中国人民銀行がコントロールしています。
余談ですが、日本やアメリカなどほとんどの国で、政策金利は「0.25%刻み」であるのに対して、中国では5.31とか6.57とか、随分と中途半端な数値であることも特徴的です。理由は不明ですが、おそらく中国人の事ですから、風水か何かを意識している?と思われます。