中国A株パンダETFは、上海A株300指数をベンチマークとするETFです。対象となる企業は全て、中国国内でビジネスを行う企業ですので、利益は人民元建てです。ゆえに、人民元が切り上がる=為替レートが元高円安になれば、中国A株パンダETFの基準価格もその分上昇するのです。
この中国A株パンダETF、もう一つの上海株ETFである「上海上証50ETF【証券コード1309】」とは似て非なるものですので、メリットと問題点をまとめてみます。
まず中国A株パンダ1322が、上海上証50ETF1309より優れている点として、現物株に投資していることが挙げられます。上海上証50ETF1309の方は現在、リンク債に投資する「ETN」なので、債券運用会社が潰れればETFが紙くずになるリスクがあります。しかし、現物株に投資しているパンダの方なら、そのようなリスクは存在しません。
※注意;上場時点の話で、現在は変わっています。
一方で、パンダの方が劣っている部分もあります。それは、元資産(上海A株300指数)との乖離率が非常に高い事です。
データの詳細などは以下のサイトを参照。
- 短期データ;ETF乖離率情報(モーニングスター)
- 長期データ;国内上場ETFの乖離率時系列データ(海外投資データバンク)
中国A株パンダETFは、国内上場のETFの中でも、最も乖離率が高い状態が続いています。投稿執筆時(13年7月初頭)の乖離率は、最大でマイナス20%にまで拡大しています。つまり、本来の価格よりも20%も割安になっているのです。
もしこの乖離率が、将来的に修正されるのであれば、問題ありません。それどころか、現在は割安なのですから、むしろお得な買い物になります。しかし中国A株パンダETFは、万年高い乖離率が続いており、是正される気配が感じられないのです。従って、下手すると買った時よりも売る時の方が、更にマイナス乖離が大きくなっていて、損失が出るリスクも十分考えられるのです。
もう一つ、これは上海上証50ETF1309と共通の問題点ですが「ポートフォリオが金融業に偏りすぎだ」という点も挙げられます。中国では現在、不動産バブル崩壊のリスクが懸念されているので、金融業の比率が高いこれらETFでは、大きな損失が出るという問題点があるのです。