上海上証ETF1309は、中国・上海市場の平均株価指数の一つである「上証50指数」に連動するETFです。ベースとなるのは、上海市場に上場している企業の収益となります。そして、上海市場の企業は、当然ながら中国国内で事業を営んでいる企業ですから、収益のほとんどが人民元ベースです。
そして、この上海ETFは日本円での売買となりますから、人民元が日本円に対して切り上がっていけば、為替差益が生じるため、ETFの価格もそれを反映して上昇していきます。
この上海株ETF1309のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
- 日本国内上場のため、為替コストが不要で売買手数料も安い
- ETFのため、いつでも売却が可能
- 投資単元が小さい(2013年現在、2万円前後)
- 信託報酬は安くない(0.995%)
- 指数の対象となる企業が、金融業に偏っている
- 市場での流動性が低い(出来高が少ない)
- リンク債に投資するタイプ(ETN)である
元来は、最大のデメリットとして、この上海株ETF1309がリンク債型のETFなことがありました。この形式は俗に「ETN」と呼ばれ、投資家はリンク債の発行元企業に対してカウンターパーティーリスクを背負うことになります。しかし2013年より約款が改定され、リンク債だけでなく現物株への投資が可能となりました。運営する野村アセットによると、将来的にリンク債の廃止も視野に入れていると公言されていますので、ETNであるデメリットは徐々に改善されていく予定です。
よって、目下最大の問題は、2つ目に挙げた「金融業に偏りすぎだ」という点です。中国では現在、不動産バブル崩壊のリスクが懸念されています。もしバブルが崩壊し、不動産価格が大暴落すれば、銀行に大量の不良債権が発生することになります。すると、金融業の比率が高い上海上証ETF1309も、大きな悪影響が及ぶことは避けられません。
このように、上海株ETFに投資することは、為替差益だけではなく、価格変動のリスクに晒されることになります。従って、人民元預金などに比べると、ハイリスク・ハイリターンの投資になると心得るべきです。